ケアタウン総合研究所代表の高室成幸先生が6月5日にお亡くなりになっていたことを1か月経って知りました。「その人らしさ」という言葉をよく使っていた頃に受けた講義で、「その人らしさでなく、本人らしさ、自分らしさ、私らしさ」と初めて聞いた時の驚きとすっと胸に落ちた感覚を忘れることができません。ご冥福をお祈りします。

高室先生が、2023年10月末に急性骨髄性白血病の診断を受け、抗ガン剤治療を続けながらオンラインでの講義や執筆を続けられていたこと、昨年末から在宅療養に移られたことを知り、3月29日の生前“Special-Thanks”フォーラム(先生曰く、“生前葬っぽい集い”)にオンライン参加させていただきました。

フォーラム準備中の思いを「今生にいるかどうか心配、いないかもしれない恐怖感があった」と話されていましたが、当日の講義や介護・医療の専門家との鼎談での歯切れよい話しぶりにパワーを感じましたし、フォーラム後のnote『八傑くん』や『八傑くんラジオ』で「今日もラッキー、余命キャリーオーバー中」と明るい声を届けてくださっていたので、やがての時はまだまだ先、と思っていました。

手元にフォーラムで配布された『CADLハンドブック第1集』があります。高室先生はあとがきに「CADL理論のおかげで高いレベルの『主観的幸福感』を感じる日々を送ることができています」、「懐かしい友人たちと再会すること、ハンドブック第1集を完成させることが『らしく逝きる』ことそのもの」と書かれています。20年以上前から提唱されてきたCADL理論を実践し、「らしく生きる」ことを体現されたのだと感じています。

CADL理論はこれからも進化を続け、ケアを変え、人の生き方も変えていくでしょう。「介護の三原則は、安全・安楽・経済性」からスタートした私の介護歴もいよいよ終盤です。「らしさ」を大切にして利用者を支え、折り合いをつけながら向かう老後を私らしく生きるために学びは止めずにいたいと思います。