毎年のように「今年は去年よりずっと暑いね」なんて話していますが、皆さんの夏はいかがでしたか?
夏らしい遊びをするのにもここまで暑くては、身の危険を感じてしまいますね。残暑もありますし、ご自愛ください。

こんな天気の話にはじまり、日常的に人と話すのがケアマネジャーの仕事ですが、予想外の事がよく起こるので楽しいなと感じております。

会話が何となく噛み合わない時、頭の中にあるイメージがズレていることがよくあります。これが噛み合った時にはスッキリしますし、笑いが起こり、ひとつ親密になれるように思います。
私が仕事をしていて、1番好きな瞬間かもしれません。

最近あった利用者のAさんとの会話を紹介しますね。


Aさん「白内障の手術をすることになったけど、何となく怖い」

ケアマネ「目の手術ですもんね。不安にもなりますよね」

Aさん「そうなの。手術するとは返事したけど、本当に良かったのかと思っちゃうわね」

ケアマネ「失敗したら、とか考えちゃいますか?」

Aさん「いや、それは大丈夫。あんまり失敗が多いものじゃないって聞いてるし、長いこと待って、評判が良い先生にお願いできたから、失敗はしないって信じてる」

ケアマネ「そうなんですね。手術の痛みや違和感とかですかね?」

Aさん「友達は痛くないって言ってたし、綺麗に見えるようになったって喜んでた。目に注射したり、穴を開けるのも怖くない。塞いでくれるし。でも、目にレンズなんか入れたら、毎日ゴロゴロしないのかな?」

ケアマネ「手術は怖くないんですね・・・。お友達はゴロゴロするって言ってるんですか?」

Aさん「言ってなかった。多分、イメージの問題なんだと思う。私が思ってるのと実際が違うのかも知れない。なんて言ったら良いのかわからないけど」

ケアマネ「もしかして、いや、違ったらすみませんが…。レンズが硬いと想像してたりします?」

Aさん「・・・ 。違うの!?レンズだし、硬いのよね?」

ケアマネ「柔らかいですね」

Aさん「レンズなのに?」

ケアマネ「そうです。ガラスみたいなのではなくて、プニプニです。水晶体っていう、プニプニの丸っこいレンズが目に入っていて、周りに小さい筋肉が囲むようについています。土星の輪みたいにぐるっと一周あります。この筋肉で周りから引っ張ると、ぷにぷにのレンズが引っ張られて薄くなります。それでピントを合わせる仕組みですね。つまり、人工のレンズもプニプニじゃないとピントが合いません」

Aさんのご主人「へえ、なるほど」

Aさん「へえ〜、よく出来てるのね!それなら安心したわ」

ケアマネ「目の中にガラスのレンズ入れると思ったら、確かにゴロゴロしそうですね」

Aさん「そうなの。プニプニなら恐れることないわ。90年近く生きてて知らなかったし、眼科で説明きいてもわからなかったの。あー、おかしい。これでよく眠れそう」

3人で笑い合い、和やかな雰囲気でした。


瞳孔が開くようにして、目に穴を開け、レンズを入れるという手術で、1番恐れていることは「硬いレンズでゴロゴロしたらどうしよう」だったのです。これは想定外でした。

私なら目に注射することを想像するだけで少し背筋が冷えます。相手も同じだろうと思ってしまい、噛み合わなかったのですね。
でも考えてみれば、本を読む、説明を受ける、というだけでは私も分からなかったと思います。私は学生の頃に豚の眼球の解剖の授業を受けていたので水晶体を触ったことがあり、イメージできました。Aさん夫婦はそんな授業は受けていないということでした。

Aさんのご主人は「レンズが柔らかいのは知らなかったけど、そんなことより目に穴が開く方を心配しなさいよ。力が抜けたわ」と話していました。

ケアマネジャーの仕事って、たまにこういうことがあるから楽しいです。