出ない…

 ケアマネジャーより「癌ターミナルの利用者から1週間排便がなく、腹痛膨満があり、苦しがっている。浣腸を希望している。」と連絡があり、訪問看護出動です!
 退院後6日目ですが、排便は8日間出ていない。2回目訪問時から、浣腸、摘便を勧めていましたが、「浣腸はまだいらない。摘便は痛いからしたくない。」と断られていました。いよいよ自分自身の問題症状と感じられた様子で、訪問すると「腹が苦しい。もういかん、浣腸する。」と話されます。
 脊椎に転移があり、両下肢麻痺と神経性疼痛を訴えられていますが、オピオイドの内服により安静時の疼痛は抑えられており、苦痛なく過ごされています。運動時には下肢痛が発生し、体位変換やおむつ交換、移動等に困難が生じます。
 訪問時には頻回な体位変換による疼痛が出現しており、浣腸前にレスキューの服用を進めるのですが、「飲まない。なるべく飲みたくない、癖になる。」と主張されます。側臥位で直腸内の便の状態を調べるのですが、便は触れず肛門部痛を訴えられます。

出た!

 腹部温罨法(おんあんぽう)、腹部マッサージ、浣腸を行い20分。排便を待つのですが「出たい気はするけど、きばれん。ベッドの上ではきばれん。」とのことで、水回り用車いすでトイレに行くことを提案すると同意され、実行となりました。水回り用車いすに移動するのですが、両下肢や臀部の疼痛を訴えられ、移動、姿勢保持に時間を要します。再度レスキューの服用を勧めますが拒否。
 トイレで頑張ること25分!こぶし大の普通便に続き、軟便、泥状便が両手一杯ほど出ました!まだ出たい気もする、とのことでしたが、風呂場で下半身シャワーをして「お尻が気持ちいい」と爽快感を口にされ、便意は消失し、お腹も楽になったと話されました。「便が出てよかった、よかった」とご本人、ご家族、看護師で喜びを分かち合いました。

最善のケアを目指す

 今後は、レスキューの効果的な服用の勧めと排便コントロールが課題として残っています。ご本人の意思がはっきりしており、納得の上での最善のケアができるように支援を試みます。大変だぞ~と思う反面、ワクワクしますね!(お食事中の閲覧の方、失礼しました(;’∀’) )